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​剣道とは?

剣道は、剣道具を装着し、竹刀を用いて面(頭部)、小手(手首)、胴(腹部)、突き(喉部)の打突部位を打ち合う、日本の伝統的な剣術競技です。

2011年3月段階で剣道有段登録者数は約160万人(全日本剣道連盟調べ)であり、これは日本の柔道人口の約8倍もの数字であります。
剣道の最も重要な側面は、剣道の修練を通して心身の鍛錬と人間形成を目指す「武道」としての側面です。

そこで全日本剣道連盟では3つのポイントを定めています。

1つ目は「心気力の一致」 であり、心=知覚・気=意志・力=体の操作の3つを、一致かつコントロールすることを目指すことです。
2つ目は「礼法」であり、常に相手を尊重し、勝負の場においても互いを敬うことで相互の人間育成に寄与することです。
3つめは「生涯剣道」であり、人間形成の道として修練を継続することです。
剣道では、稽古や試合の前後には必ず互いに礼を交わします。また「打って反省、打たれて感謝」という言葉があり、仮に勝負に勝っても驕らず、

負けた場合も修練のヒントをくれた相手に感謝するという意味で用いられています。つまりは礼節を重んじ、常に修練の道を進むことこそ、

剣道の本当の目的であります。


よく剣道未経験者の方から、「剣道はオリンピック競技にならないのですか?」という質問をいただきます。

剣道がオリンピック種目化を目指すかという議論に関しては様々な意見がありますが、現状では目指していないというのが基本スタンスのようです。

それはオリンピック競技になることで、商業主義へ傾倒することへの抵抗と、競技としての分かりにくさが大きいのではないでしょうか。

例えば、剣道では一本を取ってもガッツポーズをすると、ポイントが取り消されることがあります。

これは相手への敬意を欠いているということでの独特の取り決めですが、他のスポーツとは大きく異なります。

また、テレビで剣道を見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、年1回の全日本選手権がNHKで放映されるものの、競技の特性上試合時間が無制限なので、放送時間に収まらずほとんどの試合が録画中継というのが実情です。

また素人目には「一本」の基準が大変難しいことから、オリンピック競技化にはそぐわないというのが現在の議論ではないでしょうか。


つまり剣道の魅力は、礼節を重んじる「武道」としての側面と、「生涯スポーツ」としての側面、そして相手との駆け引きを楽しむ「スポーツ」としての側面にあります。

皆様もそんな剣道の魅力に、是非触れてみてください。

​剣道の歴史

剣道の歴史の原点は「日本刀」の出現である。

日本刀は、3世紀頃に朝鮮半島や中国大陸から伝来した鉄鋼技術が元になっており、当初の日本の刀は両刃の直剣であった。

その後平安時代頃に騎馬戦が登場し、鎬と美しい湾曲を持つ片刃の剣、「日本刀」が登場した。

武家が台頭してくると柄がさらに長くなり、片手持ちから両手持ちへと変化して現在の日本刀の原型が完成した。

それ以降、日本刀は戦闘には欠かせない武器となり、

武士集団に大変重宝された。結果として鎌倉時代末期には、日本刀の製作技術は飛躍的に進歩したと言われている。

15世紀から16世紀には、足軽の登場で白兵戦が主流になったことから、
剣術を教える学校が激増した。これが今日の剣道につながる、「剣術」の始まりだと言われている。
こうした学校の出現によって、後世に名を残す剣士が登場した。
塚原卜伝・伊藤一刀斎・上泉伊勢守信綱などである。
最近では漫画やゲームの登場人物として、名前を聞いたことがある方も多いのではないだろうか。
この上泉伊勢守信綱こそが、竹刀の発案者だと言われている。

江戸時代になると人間形成としての剣術が確立され、

剣術の学校では怪我を防止するため、竹刀を用いた稽古が行われた。

この時宮本武蔵の「五輪書」等、様々な剣道理論や流派が確立され、剣術は繁栄を極めた。

江戸時代後期には剣道防具が開発され、竹刀で打突し合う「打込み稽古法」が主流となった。

これが今日の剣道の原型である。

この頃「江戸三大道場」といわれた練兵館は、全国的強豪道場として栃木県小山市に現存し、「追込面」・「すりあげ面」などの技名は、現在も使われている。

このあと明治維新での武士階級の廃止や、第二次世界大戦後の連合軍占領下における剣道禁止期間等、何度か存続の危機を迎えた。
しかし1952年に全日本剣道連盟が組織され、現在に続いている。

​剣道具(防具)の秘密

藍染

藍染は、飛鳥〜奈良時代から日本で行われている植物由来の染色技術です。

染めることで綿や革が強くなり、また抗菌効果もあることから、剣道具には欠かせない技術です。

鹿毛

鹿毛は古くから小手の中に詰めて使用され、指や拳の周辺を守る役割を果たします。

近年は合成繊維に取って代わられいますが、鹿毛に比べると弾力性があるものの換気性が悪く長持ちはしないと言われています。

鹿革

鹿革は剣道具に幅広く利用され、特に白・茶・青の3種類が使用されます。

弾力性がありながら丈夫で壊れにくい素材なので、小手や突き垂れ(面の喉の部分)等の耐久性と

柔軟性が要求される部分に多く使用されています。

生革

生革は牛の皮膚から作られており、特に耐久性が必要な部分に使用されます。

濡れている状態では大変柔らかいのですが、乾くと一気に硬くなることから、主に硬度が要求される面に使用されています。

職人は、乾かないうちに加工する高度な技術が要求されます。

クロザン革

クロザン革は牛革をなめし、手で凹凸をつけてから漆を塗った、

大変強固で独特な風合いの素材です。

「なめしの技術」と「漆塗りの技術」を融合した素材であることから、大変高価な素材なので、近年は機械加工のものが主流です。

主に胴の胸の部分や縁に使用されます。

綿

綿は小手・面・垂れ等、衝撃吸収の素材として幅広く使用されています。

近年は、ポリエステル素材の合成繊維が主流です。

フェルト

フェルト素材は綿と同様に衝撃吸収材として、剣道具の様々な部位に使用されています。

かつては天然の羊毛素材でしたが、近年は強化フェルトが使用され、

軽量化やコストダウンが図られています。

稲わら    

稲わらは、面金(顔面の金属部分)の周りに金属と布素材の緩衝材として使用されます。

汗に強く化学繊維よりも腐りにくいので、未だに主流素材として使われています。

​刺

剣道具はそれぞれ違った幅の刺(=縫い目)があり、

一般的には刺が細かいほど丈夫で高価なものと言われています。

一方で刺の細かさによって柔軟性が左右されるので、初心者や競技者、高段者等それぞれのレベルに合わせて

はほど良いものを利用します。

胴台

胴台は胴の腹の部分のことで、手作りと機械製作で大きく異なります。

前者は竹でできており、その上に何重にも漆を塗って仕上げます。

使用する竹部品の本数が多いほどなめらかな湾曲を描き、高級品とされています。

後者はプラスチックやファイバー素材でできており、安価で丈夫であるため、特に競技者にはこちらが主流となっています。

面金

面金は顔面の金属部分で、もともと鉄やステンレスで作られています。

近年は製造技術の向上で、ジュラルミンやチタン製のものが主流となっています。

鉄は大変重く首に負担がかかるので、ジュラルミンやチタン素材を選択する方が多くなっています。

最後に

ひとえに剣道防具といっても、スポーツギアとしての側面と伝統工芸品としての側面があります。

是非職人の息づかいを感じながら、剣道具に触れてみてください。

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